贈与税のことを理解するためには、まず贈与について理解しておく必要があります。贈与とは財産を持っている人がその財産を誰かにあげる契約のことです。そのままです。笑 ポイントは財産の所有権があげる人(贈与者)からもらう人(受贈者)へと移ったことを両者が合意している必要があるということです。
お金をあげたい人がいて、勝手に送金したとしても贈与にはなりません。もらう人の合意も必要ですし、もらった人が管理して自由に使える状態でないと贈与が成立したことになりません。「名義預金」という言葉を聞いたことがある人もいますよね。銀行などの口座名義人と管理している人が別人の預金のことです。名義が本人ではない口座にお金を入れ続けていても、もらった人は管理も自由に使えることもないので贈与は成立していません。
贈与は契約の口約束でも成立しますが、贈与が実行される前だといつでも取り消すことができます。書面で契約をすると簡単に取り消すことはできないので、贈与の事実を証明するための資料として贈与契約書を作ることもあります。贈与するものはお金などの金銭以外にも家や土地、株式など様々です。
贈与税は累進課税方式といって、贈与を受けた金額が多くなるほど税率が高くなるしくみになっています。贈与税の一般税率で計算すると、贈与額が200万円の場合は税額は9万円です。贈与額が倍の400万円になると税額は35万円になります。さらに倍の800万円の場合は145万円です。
贈与額が3,110万円を超える部分に関しては何と55%も税金がかかるのです。こんなに多くの贈与をもらう機会はほとんどないかもしれませんが、とにかく税率が高いのが相続税です。これでも減税後の税率ですので、改正前はもっと高額でした。
贈与税は相続税の一部ということを知っていましたか?贈与税と相続税は「相続税法」という1つの法律の中で定められています。相続税を定めるにあたって、生きているうちに相続人(相続財産を受け取る人)に財産を贈与することで税金が徴収できないことを避けるために作られたのが贈与税です。つまり、下手に贈与をしてしまうと相続税よりも高い税金を払うことになってしまいます。
贈与税は相続税を補完するための税法のため税率は高く設定されています。ところが最近になって贈与税の非課税制度が充実し始めました。さらに、贈与税自体も改正により減税となっています。国として、贈与税を減らす方向に動いている理由は経済の活性化のためだと言われています。高齢世帯のお金を現役世代に早く渡して現役世代にもっとお金を使ってほしいからです。
2015年改正で相続税は増税でした。つまり、死ぬまで財産を持っているより今のうちに子どもや孫に財産を贈与して使った方が家族としてお得になりますよ!という国のメッセージです。
少し長くなりそうなので、今回はここまでにします。次回が本題、非課税制度についてです。